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多言語対応CMS導入で失敗しないためのポイント
【初心者さんでもわかりやすい!】

自社のWebサイトを多言語化することは、増加し続ける訪日外国人観光客に対応するためや、ビジネスの成長・拡大を目指して国外に進出するために、とても重要な対策となります。そして、複数の言語で自社の情報を発信するには、言語ごとに管理しやすいCMSの活用がポイントになってきます。そこで今回は、多言語サイトに対応したCMSを選ぶポイントと、オススメのCMSについてご紹介していきます。

多言語対応が求められるサイト制作

まず、なぜ多言語対応が必要なのか改めておさらいします

グローバル展開の重要性
多言語対応CMSは、グローバル市場でのビジネス展開に欠かせないツールです。各国のターゲットユーザーに合わせて言語や表現を最適化し、地域文化や習慣に寄り添うことで、ローカル市場での認知度が上がり、売上の増加に繋がっていきます。

マーケティング効果の向上
多言語対応によるマーケティング効果は、SEOの観点でも大きなメリットです。各国の検索エンジンやユーザーの検索に対応することで、検索順位の向上が期待でき、現地での認知度や集客、さらに、ユーザーが母国語でコンテンツを閲覧できることで、ブランドや製品に対する信頼感も向上します。



多言語対応CMSとは?

「多言語対応CMS」と言っても、日本語以外の言語でコンテンツを制作するだけであれば、大抵のCMSで対応が可能です。しかし、単に言語対応ができるだけでは、多言語サイトに適したCMSと言うことはできません。では、ここで言う多言語対応CMSとはどのようなものなのでしょうか。
主に、次のような機能を有しているものが多言語対応CMSだと言えます。

①言語ごとにサイトやコンテンツを切り替えることができる

②言語ごとにURLの設定ができるなど、複数言語で管理がしやすい

③管理画面も複数言語に対応している

 それぞれの機能の詳細は後述しますが、こうした機能を持っていないCMSで多言語サイトを制作しようとすると、管理が煩雑になってしまったり、何らかのミスやトラブルにつながりやすくなったりするなどのデメリットが生じてしまいます。
そのため、多言語対応をする場合には、多言語化に適した
CMSを活用することをオススメします。

多言語CMSを選ぶための3つのポイント

多言語CMSを選ぶ上で重要なポイントとなるのは、上記した①〜③の機能を有していることです。それぞれの機能について説明していきます。

①言語ごとにコンテンツやサイトの構造を切り替えることができる

日本企業の場合、基本的にベースとなる日本語サイトを多言語に展開していくことになります。しかし、例えば日本国内だけに展開している商品・サービスの情報などは海外に見せる必要がありません。
その逆に、日本以外の特定の国・地域にのみ展開している商品・サービスの情報は、そこに対応した言語のサイトにのみ掲載することになります。
つまり、多言語サイトは言語ごとにページ数やサイトの構造が異なるケースがあり得るのです。このように、言語によっては掲載しない・する など、それぞれの言語で最適化されたコンテンツを提供する機能が多言語サイトには求められます。

言語ごとにコンテンツやサイト構造を切り替えることができるということは、ユーザビリティを高める効果があります。また、ユーザーが見る表側の情報だけでなく、サイトの裏側であるhtml情報も言語に応じた情報を入れられるので、各言語に最適化したSEO対策が可能となります。より多くの方にサイトを閲覧してもらうためにも、言語ごとのコンテンツやサイト構造の切り替えは重要になるということです。

 

②対象国・地域ごとにURLの設定ができるなど、複数言語ごとに管理がしやすい

多言語サイトを展開する際のURL設定は、次の3つが推奨されます。

(1)国別トップレベルドメイン

https://example.us」「https://example.cn」のように、国や地域に割り当てられたドメインを活用するものです。ドメイン名を見ればそのWebサイトがどの国・地域を対象としたものかを判断することができ、信頼性も高くなります。

(2)サブドメイン

https://us.example.com」「https://cn.example.com」のように、既存のドメインの下に別のドメインを作成する方法です。新たにドメインを取得する必要がない、導入が簡単である一方、SEO効果を得られるのに時間が掛かる、SSL証明書は別途取得が必要など、デメリットも存在します。

(3)サブディレクトリ

https:// example.com/en/」「https:// example.com/cn/」のように、既存のドメインの下に新たにディレクトリを作成する方法です。サブドメイン同様、導入の手間やコスト面でのハードルが低いですが、元のWebサイトの言語ページと判定されやすく、対象となる国・地域での検索エンジンには表示されにくいデメリットもあります。

どの形でURLを設定するかは、多言語サイトの役割や目指すものによっても変わってきます。ただし、多言語CMSを選定する際には、このように対象国・地域ごと(=言語ごと)にURLの設定ができることが重要です。

 

③管理画面も複数言語に対応している

3つめのポイントは、管理画面も複数言語に対応していることです。例えば海外にも拠点を持ち、その国のWebサイトは現地法人で管理している場合、日本語ではなくその国の言葉しかわからない担当者が更新する可能性があります。
そうした時に担当者の負担とミスが発生する可能性を減らすためには、現地の言葉に対応した管理画面を用意した方がよいでしょう。
 

多言語サイト制作にオススメのCMS

ここからは、多言語サイト作成の際オススメのCMSをご紹介していきます。

  • WordPress

言わずとしれた世界で最も人気のCMSであるWordPressは、多言語化プラグインを導入することで多言語サイトを構築できます。多言語化プラグインには有料のものだけでなく無料のものもあるため、多言語対応に大きなコストを掛けられない企業にもオススメです。
その反面、オープンソースのCMSであるため、セキュリティ面では課題があります。また、便利だからといってプラグインを導入しすぎると、サイトの閲覧速度に支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。

 

  • Movable Type

Movable Typeも高いカスタマイズ性を持ったCMSで、特にブログサイトの構築に向いています。提供企業によるサポートが充実していますし、安定性やセキュリティ面でも不安が少ないと言えます。多言語化を実現するために豊富なプラグインが存在しているため、多言語サイトの制作にも向いていると言えるでしょう。
ただし、
WordPressとは違い、活用のためには費用が必要となることは認識しておかなければなりません。

 

  • RCMS

RCMSは、国産の高性能CMSとして知られています。多言語対応のための機能も充実しており、例えば、同一管理画面内に日本語とその他の言語の入力フォームが存在していて、対訳形式で記事を入力できるので、ミスが起こりにくい仕様になっています。
また、言語ごとに表示するコンテンツを制御できたり、管理画面も複数言語に対応していたりと、多言語化を行う上で複数のメリットを持っています。

 

  • WebRelease 2

WebRelease2は、企業向けのCMSとして人気の製品です。企業での活用を想定して作られたものであるため、承認機能などが充実しており、高い安定性とセキュリティを有しています。また、サポートも充実しており、大規模サイトにも対応しやすい特徴などもあります。多言語対応に関しては、日本語と英語の管理画面が用意されています。また、管理対象コンテンツに関しては言語の制限はなく、中国語、韓国語、ロシア語などのサイトを運用管理できます。

多言語対応CMS選定で注意したいこと

導入前に確認すべき点

  • 移行プロセスの確認
    CMSによっては無料デモやトライアルが提供されています。事前に実際の操作感を確認し、担当者が利用しやすいかチェックしましょう。
  • 翻訳フローの計画
    自動翻訳や外部の翻訳サービスを活用する場合、翻訳ワークフローがシンプルかつ効果的に進められるか、そしてそのコストが適正かも確認が必要です。
  • セキュリティ対策の確認
    グローバル展開によりセキュリティリスクも増加するため、CMSのセキュリティ対策や更新頻度をチェックし、安全に利用できるかを考えて検討しましょう。

 そのほか多言語対応CMS選定で知っておきたいこととして、以下のような点も理解しておきましょう。

運用のしやすさとサポートはどうか?
多言語対応では、各国ごとに異なるコンテンツの管理が必要になります。そのため、CMSの管理画面が直感的でわかりやすく、更新作業の負担が少ないことが大切です。日本語サポートやローカルでのサポート体制が整っているCMSは安心です。

費用対効果はどうか?
多言語対応CMSには無料からエンタープライズまで様々な料金プランがあり、希望している機能やコンテンツサポートによって大きく異なります。自社の予算も考えつつ、適切なCMSを選びましょう。

実際にあった多言語対応CMS導入の失敗例

多言語対応 CMS の導入にあたっては、事前に注意すべきポイントを見落とすとさまざまな問題が起こりやすいのです。ここでは、多言語対応 CMS の導入でよくある失敗例をいくつかご紹介します。

1.翻訳品質の低下による現地ユーザーの離脱

多言語対応CMSに自動翻訳機能がある場合でも、品質が保証されるとは限りません。機械翻訳のみに依存した結果、不自然な表現や誤訳が多く、ローカルユーザーの離脱が起こることがあります。特に重要なビジネス情報やキャッチフレーズが意図通りに伝わらない場合、ブランドイメージにも悪影響を及ぼします。

解決策:自動翻訳に加え、必要な箇所ではネイティブスピーカーによる補正や専門の翻訳者による品質チェックの工程を設けましょう。

2.多言語SEOの対応不足

国や地域に合わせたSEO対応が十分でないと、検索結果のランキングに影響し、現地ユーザーにリーチしにくいです。 具体的には、hreflangタグの設定ミスや、言語ごとのURLが正しくないことで、検索エンジンに正確な言語設定が伝わらないケースです。

解決策:多言語対応のSEOに精通した者と一緒に、URL、hreflangタグの設定をしっかりと整備しましょう。

3.更新作業の負担増による管理ミス

多言語対応CMSでは、各言語ごとにページが増えるため、コンテンツ更新のたびに管理負担が増加します。結果として、他の言語ページの更新が漏れる、コンテンツがズレるようなミスが発生しやすくなります。管理のミスは、ユーザー体験の低下や信頼性の喪失につながるリスクがあります。

解決策:更新作業を効率化するために、CMSの通知機能やワークフロー管理機能を活用し、更新漏れを防ぐ仕組みを構築しましょう。

4. CMSの機能不足でカスタマイズができない

多言語対応CMSを導入したものの、思うように機能が拡張できず、追加のカスタマイズや調整に多くのコストと時間がかかる場合があります。 特に、専用プラグインやカスタムコードに対応していないCMSを選んでしまった場合、柔軟性が考慮され、必要な機能を追加できない場合があります。

解決策:事前に必要な機能とカスタマイズをリストアップし、それぞれに対応できるCMSを選びましょう。

5.セキュリティリスクの管理不足

多言語対応CMSを運用することで、アクセスする国やユーザーが増え、セキュリティリスクも増加します。しかし、セキュリティ更新や脆弱性対策が十分に行われていないと、データ漏洩やハッキングのリスクがでてきてしまいます。

解決策:CMSのセキュリティアップデートを定期的に行うとともに、セキュリティプラグインや多要素認証などを活用し、リスクを極力抑えましょう。

6.費用対効果の低下

多言語対応CMSの導入やカスタマイズした費用が、最終的に期待した成果と釣り合わないケースもあります。 特に、初期導入費用やランニングコストが高すぎる場合、費用対効果が見えづらくなる場合があります。

解決策:費用の試算を事前に行い、目的に対して最も適したCMSを検討することで、コストに見合った成果が得られるようにしましょう。

これらの失敗事例を参考に、CMS検討の段階で自社のニーズや市場環境、管理体制を十分に考慮し、長期的な視点で導入を進めることが大切ですね。

まとめ

今回ご紹介したように、Webサイトのグローバル化には多言語対応CMSを活用することが重要ですが、"有名だからこのCMSにしておこう!"などの理由で選んでは失敗してしまう可能性があります。
自社に最適なCMSを見つけて、グローバル市場における競争力を強化していきましょう。 

アリウープは、これまで多くの企業のCMS選定や導入、運用を手掛けてきました。グローバルサイト制作や、CMS選定に関してお困りごとがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修

Kunihiko Tajima

Account Director /
Manager

CMSに関わる案件を中心に、Web業界で約10年間ディレクターに従事。アリウープでは、プレイヤーとしてPJ管理やCMS構築ディレクションを担いながら、ディレクショングループマネージャーも兼任。
オンオフはしっかりと分け、休日は娘と過ごす時間を大切にしています。