Web Designing2021年4月号「CMS最新ノウハウ」特集に田島のインタビューが掲載されました!

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企業が安定した経営や成長していく上で鍵となるのは、株主や投資家に自社情報を知ってもらい、投資する価値のある会社だと認めてもらうことです。そのため上場企業では経営方針や財務情報などを掲載したIR(Investor Relations)サイトの制作が欠かせません。ただし、IRサイトは企業情報をただ載せておけば株主や投資家に情報が伝わるわけではなく、掲載情報においてもサイト制作方法においても、時代に即した形で構築をしていかなければならないのです。そこで今回は、IRサイトを通じた情報発信をして、株主・投資家に「投資先として」選ばれる企業になるためのポイントを紹介します。
「IRサイトのターゲットは株主・投資家」と書きましたが、より細分化すると、対象ユーザーは3つに分けられます。詳細は後述しますが、ターゲットごとに情報の整理も必要になってきます。
(1)個人投資家
企業に属さず個人で投資活動を行う層です。デイトレーダーと呼ばれる1日単位など短い期間で株を売買して利益を上げるタイプだけではなく、中長期的な視点で売り買いするタイプや、配当や株主優待を目的にしているタイプなど、様々な目的で投資活動を行う人が存在します。
(2)機関投資家
生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、信用金庫、年金基金など、民間企業や政府系金融機関などが顧客から資金を集めて株式や債券で運用する大口投資家のことです。日本では、上場企業の株式の大半を機関投資家が持っているため、市場への影響力有している存在です。
(3)海外投資家
日本国外に居住する外国籍の個人投資家や機関投資家のことです。国外の個人・企業とは言え、日本の株市場のシェア率は大きく、近年ではますます増加傾向にあると見られています。彼らに企業情報を認知してもらうためにも、IRサイトでも英語を始めとした多言語対応は必須と言えます。
次に、彼らのような投資家に対してIRサイトにどのような情報を掲載すべきなのかを見てみます。簡潔に言うと「どのような会社がどのような事業でどれだけの成果を出しているのか」がわかるコンテンツが必要になります。加えて最近では株式投資を行う上で企業の社会的責任も判断指標になっているため、CSR活動やSDGsなどへの取り組み状況がわかるコンテンツの重要度も高まっています。最低限押さえておきたい項目を以下に列挙します。
(1)会社情報
企業情報、事業内容、経営ビジョン・理念、会社沿革、経営陣紹介、グループ会社紹介、等
(2)経営方針
代表メッセージ、経営戦略、コーポレートガバナンス、マーケットデータ、リスク情報等
(3)財務・業績情報
決算ハイライト、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、チャートジェネレーター等
(4)株式情報
株価情報、株式状況、株主総会、配当金、アナリスト情報、社債・格付情報、定款、電子公告等
(5)IR資料
決算短信、決算説明会資料、有価証券報告書、事業報告書、株主通信、アニュアルレポート、ファクトブック、資料ダウンロード機能等
(6)ニュース
IRニュース、プレスリリース等
(7)その他
CSR情報、SDGs情報、IRカレンダー、お問い合わせ、IRメール配信、RSS等
前項ではIRサイトの基礎を押さえましたが、ワンランク上のIRサイトを構築して株主や投資家に選ばれるにはさらに欠かせないポイントがあります。それは次の3つです。
(1)操作性・情報取得性に優れているか
IRサイトで最低限押さえておきたい項目を上記しましたが、ご覧いただくとわかるようにIRサイトはその性質上どうしても情報量が多くなります。そのため、各コンテンツが埋もれないようにしつつ、閲覧者がサイト内で迷子にならないような導線設計を行わなくてはなりません。
またIRサイトでは、ニュースやプレスリリース、決算関連情報など、即時性のある情報更新が必要となります。そのため、ユーザーだけではなくサイト運用者にとっても、できる限り手間をかけずにスムーズに運用できるサイトを制作すべきでしょう。
(2)コンテンツは充実しているか
IRサイトに必要なコンテンツというと、財務・業績情報にばかり目が行きがちです。もちろん「事業が好調か否か」を紹介する財務・業績情報はとても重要なコンテンツですが、投資を判断する上で「どのようなビジネスを行っているのか」「そのビジネスの社会への影響度をどう捉えているか」「未来に向けてどのように歩んでいこうと考えているのか」といった点がわかるコンテンツも必要となります。
また近年では、「企業はお金を稼ぐだけではなく、社会に対して還元すべき」という考えが強くなってきています。そのため、CSR(企業の社会的責任)活動や、ESG(Environment、環境/Social、社会/Governance、管理体制)経営、SDGs(持続可能な開発目標)活動をどれだけ行っているかという点も、投資を左右するポイントとなります。これらの活動に関連したコンテンツは、今後ますます重要度が高まっていくでしょう。
■SDGsについては以下のブログもご覧ください
SDGsに取り組むべき理由とコーポレートサイトでの情報発信3つのポイント
もう一つ押さえておきたいのが、個人投資家、機関投資家、海外投資家それぞれを意識することです。個人投資家に向けては企業の基礎情報やストーリーを紹介するようなコンテンツを、機関投資家に向けては財務情報を、海外投資家に向けては多言語対応を、というように、各ターゲットに向けたコンテンツを用意しておくと投資先としての魅力が伝わるでしょう。
(3)社会の動きに対応しているか
ニュースやプレスリリースをスピーディーに出すというだけではなく、技術的な意味でも社会の動きに対応していくことが必要です。仮にスマートフォン対応をしていなければ、それだけで機会損失につながってしまうかもしれません。そのため、SNS対応や多言語対応など、積極的に社会の動きに対応していくことが必要です。
またコンテンツに関しても、株主通信やアニュアルレポートなどいわゆる「IRツール」と呼ばれる印刷物も重要です。印刷物として配布するだけではなく、最近ではwebカタログ化して掲載する企業も増えてきました。新たなツールを取り入れることは、情報収集をするユーザー(株主)の利便性向上にも繋がります。
この3点に加えて、第三者機関がどのような視点でIRサイトを評価しているのか、ということも知っておきましょう。金融・経済情報の発信を行うモーニングスター株式会社は、毎年国内企業のIRサイトを評価して「Gomez IRサイトランキング(https://www.gomez.co.jp/ranking/ir/index.html)」として発表しています。同ランキングでは「ウェブサイトの使いやすさ」「財務・決算情報の充実度」「企業・経営情報の充実度」「情報開示の積極性・先進性」の4つの視点から数千社にも及ぶ企業のIRサイトをチェックしています。同サイトの上位に名を連ねる企業のIRサイトを研究していくことも、IR制作の上で効果的な手法と言えるでしょう。
これまでアリウープは大手証券会社のIR支援会社様と長年に渡ってお取引をしています。そのため、IRに関わる部署やご担当者様のニーズ、IRサイトの役割などを熟知しています。今回ご紹介したポイントは積み重ねてきた経験と実績から導き出したものです。もちろん企業によって情報の種類や優先度は異なりますが、しっかりとヒアリングを重ねた上で最適な設計を考え、お客様の魅力を伝えるIRサイトをご提案することが可能です。
「これからIRサイトを制作したい」「現在のIRサイトを見直したい」「適時開示を正しくおこなうためツールの導入を検討したい」といったご要望をお持ちの方は、ぜひアリウープにご相談ください。
「IRサイト制作ページはこちらをご覧ください」https://www.alleyoop.co.jp/service/ir/