Blogブログ

ブログ
一覧へ戻る

【RFP(提案依頼書)書き方・サンプルあり】初めてのコンペ、何を準備したらいいの?

運用を任せている会社に不満を感じていたり、新しいプロジェクトのために多角的な視点からのアイディアを募りたいというとき、有効な手段となるのが「コンペ」です。

コンペとは、クライアントが複数の会社に対してプロジェクトの目的・要望・条件などを提示し、それに対して各会社からアンサーをもらう(企画案や見積もりを提案してもらう)発注形態のこと。あらかじめ制作会社を決めて仕事を依頼する指命受注方式の場合、企画案や見積もりを比較検討することができませんが、コンペ方式であれば複数案の中から比較検討ができ、自社にとって最適な案を採用できるというメリットがあります。

コンペのメリットを知ってみると「ならば我が社も今後はコンペで制作会社を決めよう!」と思ってしまうかもしれませんが、コンペは「なんとなく」でできるものではありません。クライアント側もしっかりと準備をした上で臨まなくてはいい結果には結びつかないのです。

そこで本日は、初めてコンペをする際に何を準備したら良いのかをご紹介します。

サイトリニューアルを成功に導く!RFP(提案依頼書)サンプルはこちら

そもそもコンペに適したプロジェクトとは?

コンペをすることでより高い効果を望めるプロジェクトと、コンペをすることで逆効果になりうるプロジェクトがあります。前述したように、コンペの最大のメリットは「複数のアイディアを比較検討できること」です。言い換えると「今の段階ではサイトの完成形が見えないため、多角的な視点から企画を検討することが必要とされるプロジェクト」でないと、コンペを行う意味はありません。

また、コンペは時間が掛かるものです。一概には言えませんが、コンペの要件を決めるまでの社内検討・調整に数ヶ月、制作会社に依頼してから提案が出来上がるまでに2週間〜1ヶ月ほど、出そろった案の中から発注先を決めるまでに1週間〜2週間ほどは必要になります。それらを経てようやく実制作に入っていくため、「なるべく早くサイトを作りたい」というプロジェクトの場合はコンペをすべきではないでしょう。

さらに、制作会社は予算に合わせて企画案を提示します。予算に余裕がないと多様なアイディアは提案しづらいため、予算が少ない場合、コンペをするメリットは薄くなります。

整理をすると「複数のアイディアを募るべきで、スケジュールと予算に余裕があるプロジェクト」はコンペをすることでよりよい効果を望むことができると言えます。

コンペに臨む前に準備しておくべき6つのポイント

それでは、コンペを行うまでにどのような準備をしておくべきかについて紹介します。コンペに臨むにあたり、次の6つを自社内で決めておく必要があります。

(1)サイト制作の目的
(2)サイトのターゲット
(3)予算
(4)スケジュール
(5)コンペの提出物
(6)発注先決定後の対応範囲

まず大切なのは、「(1)サイト制作の目的」を明確にすることです。先にも記した通り、「なんとなく複数の会社のアイディアを比べてみたい」というような動機でコンペを行うと、必ず失敗します。認知度を高めたい、売上を伸ばしたい、使い勝手をよくしたいなど、企業によって千差万別ですが、自社内で議論を重ね、必ず目的を定めておかなくてはなりません。これはコンペに限らず、どのような方式であっても、プロジェクトを進める上で欠かせないことであると言えます。

次に決めるべきことが「(2)サイトのターゲット」です。これは(1)サイト制作の目的と付随することですが、そのサイトから発信する情報を「誰に見てもらいたいか」「その人にどのような行動をとってもらいたいか」ということも明確にしておきましょう。ターゲットが男性か女性か、若者向けかシニア向けかといったことでデザインやコンテンツは大きく変わります。ここが定まっていないと、制作会社も企画案を考えようがないので、より良いサイトを生み出すことはできないでしょう。

続いて「(3)予算」と「(4)スケジュール」も、事前に決めておく必要があります。ただし、これらは必ずしも厳密でなくとも構いません。予算やスケジュールは制作会社からの提案によって変動があるからです。とはいえ、まったく現実的でない予算やスケジュールでは実現可能性やクオリティの低い提案が上がってくる可能性があるため、ある程度現実的な数値、期間を定めておいた方がよいでしょう。

また、各社の金額比較がしやすいように見積もりの出し方をある程度指定することをおすすめします。
見積もり項目に関して詳しくは下記RFPサンプル 資料ダウンロードにて、当社で実際に活用しているRFPのテンプレートの詳細や書き方をご覧いただけますので是非参考にしてみてください。

RFP(提案依頼書)サンプルのダウンロードはこちらから!

「(5)コンペの提出物」を決定しておくことも忘れてはなりません。金額とスケジュールだけでよいのか、提案書も作成してもうらのか、それともデザインやプレサイトの制作まで必要なのか…。「何を、どれくらい提出してもらうのか」を明確にしておかないと、制作会社ごとに提出物がバラバラになってしまう恐れがあります。提出物がバラバラでは公平な選定ができませんので、これについても必ず指定しておくべきです。

意外と忘れがちなものが、最後の「(6)発注先決定後の対応範囲」です。いざ実制作に入った時、その制作会社には何を、どこまでお願いするのか(サイト制作だけでよいのか、コンサルティングまでお願いしたいのか、運用は自社で行うか、制作会社で行うか…など)をあらかじめ考えておかなくてはなりません。どこまでを制作会社にお願いするかによってかかる費用は変わります。さらに、制作会社はその条件に応じて企画案やツールの仕様などを考えますので、ここを定めていないと、やはりアイディアに差が出てしまい、公平な選定に支障が出てしまいます。

コンペの結果を左右する「RFP(提案依頼書)」の重要性を知っておこう

ここまでに記したようなことは資料に落とし込み、事前にコンペ参加会社に配布し、オリエンテーションを行った上でコンペをスタートすることになります。その資料のことを「RFPRequest For Proposal/提案依頼書)」と呼びますが、RFPがしっかりと作られているか否かがコンペの結果を左右すると言っても過言ではありません。そこで、RFPについても詳しく説明していきます。

【RFPサンプル ダウンロード資料】は、Wordデータなので今すぐ書き込み&使えます。 多くのRFP作成ご支援、コンペ開催ご支援の実績があるわたしたちが実際に活用しているシートです。
本記事を読みながらサンプルをご確認いただければ、より理解が深まると思いますのでまずはダウンロードしてみて照らし合わせて是非ご確認ください。

RFP(提案依頼書)テンプレート 書き方とサンプル例はこちら

RFP(提案依頼書)を作る意義

コンペを実施する際には、上述の6つのポイントを参加企業に伝達した上で提案を作成してもらいます。

その際に各ポイントを口頭で伝えてしまうと、意図や要望が正確に伝わらなかったり、抜け漏れが発生したり、参加企業の理解度にばらつきが出たりしてしまいます。こうした事態が発生すると提案のクオリティは下がってしまいますし、プロジェクトが動き出してからトラブルを招いてしまう恐れもあります。そこでRFPという形で、前提条件を書面に落とし込む作業が必要になるのです。

RFPがあればコンペを俯瞰的に眺めることもできるため、各企業の提案を評価する上でも役立ちます。自社にとっても参加企業にとっても、コンペの道標となるものがRFPなのです。

RFP(提案依頼書)に盛り込むべき項目

繰り返しになりますが、RFPに記載する内容は“(1)サイト制作の目的〜(6)発注先決定後の対応範囲”がベースとなります。加えて、CMS・サーバ・システム情報や保守要件、セキュリティ要件などの技術的な情報を盛り込んでおくとより現実的な提案を望めます。また、選定基準も明確にしておくと評価する際に社内の意思統一が図りやすくなりますし、機密保持や契約条件の記載は後々のトラブル回避のためにも有効です。

アリウープではRFPの制作サポートも行っていますが、私たちが提供するサイトリニューアルのRFPでは以下のような情報を記載しています。

1:はじめに

・提案依頼の背景

2:コーポレートサイトについて

・コーポレートサイトURL

3.プロジェクトについて

・プロジェクトの方針

・プロジェクトで達成すべきゴール

・主なターゲットユーザーとサイトが果たすべき役割

・リニューアル対象範囲

・最終的に目指すゴール

・参考としたいサイト

・リニューアル要件

CMS・サーバ・システム要件

・サーバ・システム保守要件

・セキュリティ要件

4.プロジェクトの実施範囲と発注範囲

・実施範囲

・発注範囲

5.提案依頼事項

・提案条件

・提案時成果物

・スケジュール

6 契約および納品・検収について

・契約条件

・納品条件

7 評価選定について

・選定基準

・選定および結果通達方法

・備考

・問い合わせ先

プロジェクトの内容や発注側の事情によって盛り込む項目は変わるため、上記はあくまでも参考となりますが、こうした情報を盛り込んでおくと、齟齬の発生を防ぐことができます。

RFP(提案依頼書)の作成フロー

RFPは以下のようなフローで作成していきます。「コンペに臨む前に準備しておくべき6つのポイント」と重複するところも多いですが、RFPの制作は6つのポイントの整理と同時に進めていくイメージを持っておくといいでしょう。

(1)プロジェクトの目的設定

「コンペに臨む前に準備しておくべき6つのポイント」でも触れましたが、プロジェクト(サイト制作)の目的設定は成功のために絶対に不可欠です。目的を明確にし、社内で共有、意思統一を図るところから着手しましょう。

(2)自社の現状整理

(1)と同時に進めておきたいのが、自社のサイトやビジネスの現状を整理・把握することです。そうすることで解決すべき課題や、目指すべき姿が見えてくるはずですし、これらの情報は、制作会社が提案内容の方向性を見つけていく上での重要なヒントとなります。また、特にコーポレートサイトの制作やリニューアルプロジェクトの場合、一部署だけではなく、会社全体を巻き込んで実施するものとなります。社内のシステム領域を担っている部門や、製品・サービスの開発部門、マーケティングを担当している部門等とコミュニケーションを取り、それぞれの意見や課題を吸い上げていくことも大切になります。

(3)プロジェクトに関連する調査

課題の解決の実現や、理想の姿に近づくには、客観的なデータを集め、それを基に論理的にプロジェクトを進めていくことも必要です。そのため、プロジェクトに関連する調査を行い、必要なデータ収集を行うことも重要です。

その企業やプロジェクトによってなすべき調査は異なりますが、例えば自社サイトの現状のアクセスデータや、競合他社や業界の動向、ターゲット層の購買行動調査などが考えられます。

この調査は絶対に実施しなくてはならないというわけではありませんが、提案の精度を高めるためにはもちろん、自社内での意思統一や予算調達のためにも有効であるため、可能な範囲で行うといいでしょう。

(4)社内条件調整

(1)〜(3)までの工程を踏まえた上で、目的や目指すべき姿に相違がないか、社内で意思統一を図ります。その際、予算やスケジュールの確保も必要となるため、決済権を持つ人への早めのアプローチも忘れずに行いましょう。

(5)RFP作成

ここまで終えたら、最後にRFPに落とし込んでいくこととなります。上記した当社のテンプレートを参考にしながら、抜け漏れがないかもチェックしてみてください。

コンペの結果は事前の準備が左右する!

昨今、制作会社の選定は、複数制作会社に提案を依頼する競合コンペが一般的になっていますが、コンペで注意すべきことがあります。それは、発注先以外の会社から出た提案を無断で使用しないことです。これは企業対企業のマナーであると言えます。勝手にアイディアを流用されると、そのアイディアを出した会社は当然いい気持ちはしませんし、その後の取り引きに悪影響を及ぼしてしまいかねません。

そもそも「コンペである」ということをきちんと伝えておくことも大切です。これは当然のことのように思えますが、意外とこうしたことを伝え忘れてしまい、制作会社が勘違いをしてトラブルを招いてしまうこともあるのです。

また、できることならコンペに参加した会社にはコンペフィー(参稼報酬)を支払った方が良いでしょう。「なぜ、選定業者以外にも費用をかけなくてはならないのか?」と感じる方もいるかもしれません。しかしコンペフィーを支払うということは、アイディアの価値を認めるということです。そのような考えを持った企業の下には優秀な制作会社が集まりやすくなります。つまり、コンペフィーを支払うことは、最終的に自社の価値を高めることにつながるのです。

本記事ではコンペを成功させる考え方をご紹介しましたが、提案内容だけでWeb制作会社の実力を見極める事は非常に難しい部分もあります。アリウープでは、コンペで発注企業側に立ったサポートや、RFPの作成からお手伝いすることも可能です。

Webサイトのリニューアルを成功させたい!という企業の方は、ぜひ私たちにご相談ください。

【Wordデータなので今すぐ書き込み&使える!RFP作成お役立ち資料】
多くのRFP作成ご支援、コンペ開催ご支援の実績があるわたしたちが実際に活用しているシートです。失敗しがちな見積もり項目・対応範囲の考え方など、是非参考にしてみてください!

サイトリニューアルを成功に導く!RFP(提案依頼書)サンプルはこちら

監修

Kunihiko Tajima

Account Director /
Manager

CMSに関わる案件を中心に、Web業界で約10年間ディレクターに従事。アリウープでは、プレイヤーとしてPJ管理やCMS構築ディレクションを担いながら、ディレクショングループマネージャーも兼任。
オンオフはしっかりと分け、休日は娘と過ごす時間を大切にしています。