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Webサイト制作の見積もり・項目解説
相見積もり時の注意点とは?

Web制作会社に見積提出を求めたところ、

・想定よりも見積もりが高くて驚いた
・数社見比べたところ、費用の差が大きくて驚いた
…という経験をした方も多いのではないでしょうか?

見積もりの入手後は、社内のGOサインをもらうために、その金額が妥当であり、必要作業であることを上長に説明する…という場面も出てくると思います。
特に経験の少ないWeb担当者の場合、なぜ1つの業務にそれだけの費用が掛かるのかがわからず、その後制作会社側とのコミュニケーションを円滑に進められなかったり、とりあえず安く抑えるために、削るべきではない費用を削って後々の公開・運用に影響を及ぼしてしまうこともあります。

また、相見積もりを取る方が多いと思いますが、本当に皆同じ条件・作業範囲での見積もりを取得できているでしょうか?
双方に同様の条件、作業項目で依頼出来ていないと、A社では元々含まれていた作業がB社では別対応となり、見積もりに含まれていなかった…など、
結果、後から追加費用が発生することとなり、当初の見積もりよりかなり高額になったという話もしばしば耳にします。

後々トラブルにならないためにも、なぜその業務にそれだけの費用が掛かるのか、見積もり内容をしっかり理解しておくことが大切です。そうすることで制作会社と正しい関係を築き、上手な調整ができるようになっていきます。

本記事では、Web制作・運用で発生する業務の見積もり項目、費用感の傾向、見積もり確認の注意点を紹介していきます。
Web担当者は、費用の相場を知り、妥当性を判断する力が求められます。
Web制作会社とのコミュニケーションや依頼先の選定の参考にしてみてください!

見積もり依頼時の準備事項

まず、見積もりを依頼する制作会社を絞るときに確認しておくことは以下です。

①制作会社の強み、得意とするサイト種別

例えば、BtoBが得意な会社と、ECサイトが得意な会社ではやはりノウハウや知見が変わってきます。"強み"のページなどを確認して、どういった取り組み姿勢なのか?なども確認しましょう。

②今までの制作実績

どのような規模の企業、業種、ページ数が多いかを確認します。一部のサイト実績しか掲載されていない場合も多いので、気になる場合は問い合わせしてみましょう。

③費用感

コーポレートサイト制作の場合、ランディングページの場合…など、おおよその価格帯を事前に確認し、予算がマッチしそうかチェックします。

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このように、やみくもに多くの見積もり依頼をするのではなく、自社に合った制作会社の目星をつけていきます。
次に、正しく見積もりを取るためには提供する情報も大切です。

以下の内容を最低限準備しておくと良いでしょう。

①該当サイト

今のWebサイトをリニューアルするのか、新しく作るのかを確認します。

②予算感

未定の場合も、検討できる上限額は伝えておきましょう。せっかく良い会社だしここにお願いしたい!と思えても、そもそも検討の土台に乗せられない金額の見積もりが出てきてしまったら、現実的ではありません。
率直なところを伝えて、その中で提案を受けるという進め方が、実はよい提案を受けられることもあります。

③サイトのボリューム

既存サイトのリニューアルの場合、全体でページがどのくらいあるかを把握しておきましょう。サイトマップを確認すると、全体の構成が一目でわかります。
(サイトマップに関してはこちらの記事でご確認ください)

ただの目次じゃない!サイトマップの重要性と作り方

新規の場合でも数ページなのか数百ページにわたるのかで大きく費用は変わります。

④希望納期

詳細日時でなくても、○○年夏頃 などわかる範囲で伝えたり、公開希望日を検討しておきましょう。公開日が近く、緊急の場合は"緊急対応の金額"が上乗せされることもありますし、少しでも余裕をもって依頼するのがベストです。

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各社お問い合わせフォームから見積もり依頼する場合も、初回はだいたい上記のようなことは聞かれると思います。
中には、まだあまり固まっていないけどとりあえず見積もりが欲しい...!という方もいらっしゃいますが、その段階で慌てて見積もりをとっても"ざっくり"すぎて、あまり参考にならないことが多いです。
まだふんわりした構想段階であっても、課題・やりたいこと・ゴールを明確化していくために、はじめに制作会社と打合せをして相談しながら整理していく方が、後に「あれもあった...これもあった...!」と慌てずに済みます。
あまり詳細が決まってない場合こそ、気になる制作会社があれば見積もり依頼前に一度相談してみてください。

Web制作会社の見積もりの考え方

Web制作会社は上記のいずれかを使い分ける、あるいはプロジェクトに応じてミックスさせながら見積もりを算出していきます。
工数や人日単価、作業単価はその会社によって異なるので、Web制作会社に見積もりを依頼する際には、その会社がどのような考えに則って見積もりを算出するのか、また各種単価について確認するといいでしょう。

ではここからは、見積もりの内容についてです。Web制作会社の見積もりがどのような考えに基づいて作られていくのかを紹介します。

Web制作会社の見積もりの算出方法は、大きく二通りの考え方に分かれます。
ひとつは「工数」をベースとするもので、もうひとつは「作業単価」をベースとするものです。

(1)工数ベースで見積もりを算出するパターン

その作業を終えるのにどれだけの時間が掛かるのかを算出し、人日単価に照らし合わせて導き出されるパターンです。一般的に1人日は8時間で計算されます。人日単価は会社によって異なるため一概には言えませんが、1人日あたり4〜6万円程度で設定している会社が多いように思えます。

工数ベースで見積もりを算出する方法は、その工数の範囲内であれば作業内容の変更が生じても費用が増加しないため、正確な作業量が見えにくい大規模案件や、仕様が複雑になりがちなシステム案件などに向いています。
その反面、発注元からすると本当にそれだけの時間が掛かるのかを判断しにくい部分があります。

また、Web制作会社としても不測の事態に備えるためにある程度余裕を持たせる傾向にあるため、次に紹介する「作業単価」のパターンよりは費用が嵩みがちな傾向にあります。

(2)項目(作業)単価ベースで見積もりを算出するパターン

あらかじめ作業項目によって単価を設定し、そのボリュームに応じて費用を算出するパターンです。例えばデザイン1ページを3万円と設定している場合、3ページ分を依頼すると9万円となります。
このパターンは費用の内訳が明快でわかりやすい点が大きなメリットです。

依頼内容の増減なども簡単に計算できるので、費用についての調整もしやすくなります。一方で、複雑な条件が設定される案件や、作業量が明確ではない案件など、臨機応変なさが求められるケースには対応しづらいという難点もあります。

Web制作・運用で発生する主な業務とその費用感

続いて、Web制作・運用の中で発生する主な業務とその大まかな費用感をカテゴリごとに紹介していきます。

要件定義・サイト設計

Webサイトを作るには、まず全体の設計を練ります。 現状把握、作業範囲の検討 から、サイトマップ・ディレクトリマップの検討・作成、画面設計書作成、CMS設計書作成…などが含まれています。
要件定義はサイトの幹を作る大事な作業になるため、時間をかけて取り組むことを推奨します。サイト規模にもよりますが、数十ページ以上の中規模サイトでは20人日以上は見ておくのが良いでしょう。

企画

Webサイトの中でどのようなコンテンツを制作・発信していくかアイデアを練ったり、コンテンツを作るための情報収集や段取り設計関係各所との調整などを行うものです。
この項目は作業内容や企業によって費用感は大きく異なるため、その傾向は明示し難いものがあります。工数でも出しにくい部分があるため、「一式」表記で一定の金額を出す、あるいはプロジェクト全体の何%かを計上する制作会社が多いでしょう。

ディレクション/プロジェクトマネジメント

プロジェクトの進行管理、連絡窓口業務、予算調整、作業者への指示出しや品質管理などを行うものです。進行管理費、プロジェクト管理費と呼ぶ場合もあります。
この領域は項目単価では算出しにくいため、工数で出すWeb制作会社が多いでしょう。あるいは、プロジェクト全体の何%かを計上するケースもあります。その場合、10〜30%が一般的です。
自社メンバーである程度コントロールするので、もっと費用を下げられないかな?と考える方もいると思いますが、いくらはじめにしっかり計画を立てていても、市場や会社内の変化などにより急遽修正や変更などもありえます。
エンジニアとの仕様調整など、専門的な知識が必要な箇所なども多いため、知識とディレクション経験豊富なWebディレクターにディレクションを任せたほうが、様々な調整、スケジュールなど、サイト制作がスムーズに進むため安心なのです。

注意点としては、相見積もりをとった際、ディレクション費が明らかに他社と比べて安い価格の場合、しっかりと内容を確認する必要があります。その担当ディレクターがプロジェクト全体を把握できておらず、正しく計算できていない可能性があるためです。 
いくら安いからといって、安易にお任せしてしまうとトラブルになる場合もあります。
制作会社によって、どの範囲をディレクション費に含めるかの判断は異なるので、はじめに確認しておきましょう。

アクセス解析・SEO対策

Webサイトのアクセス状況を解析して改善点を探ることや、検索サイトでの順位を上げるためにページのあり方や情報を最適化する業務です。サイトは作りっぱなしで終わりではなく、GA4をはじめとする様々なツールや、アクセス解析手法をもとに、SEO対策をしていく必要があります。
Web担当者として日々運用する際、特に重要な取り組みになりますが、サイトの規模が大きい(ページ数が多い)ほど分析にある程度時間がかかるため、小規模サイトに比べて、金額が高くなります。
これらの業務は単発で対応するというよりも継続的に実施してこそ効果を発揮するものです。そのため、月単位、年単位で契約した上で費用を算出するケースが多いでしょう。
また、制作会社によってはパッケージ化してサービスを提供していることもあります。

素材作成

Webページに掲載するための文章、写真、イラスト、動画などの素材を作成するものです。
多くの場合、項目単価で算出されますので、比較的計算がしやすいカテゴリと言えるでしょう。ただし、各素材の作成担当者やその条件によって金額は異なります。
例えば有名なイラストレーターにイラスト作成を依頼する場合には相応の金額が必要となりますし、文章作成のために何度も取材が必要となる場合にはその分増額することになります。

また、クラウドソーシングなどを使えば比較的安価に抑えられる傾向はありますが、その反面クオリティの担保が難しくなります。
写真、イラスト、動画等の場合、素材サイトから購入することも可能です。このケースであれば金額は明快ですが、他社と重複する可能性や、使用条件が細かく規定されていることがあるので事前の確認が必要となります。

デザイン

Webページをどのようなデザインにするか、画像や文字の使い方、見せ方を考え、作成し、画面に落とし込んでいく業務です。大元のレイアウトや設計自体はディレクション費で計上されることが多く、それをより魅力的に、ユーザーが使いやすくするためにブラッシュアップしていく作業であるとも言えます。
工数で計上するケースもあれば、項目単価で計上するケースもあります。
後者の場合、制作会社や条件によっても異なりますが、
挿絵やイラストなどがないシンプルな構成のページでは数万円、見せ方を工夫して凝ったページを制作する場合は10万円以上、トップページについてはサイトの顔にもなりますので、それ以上の費用を見込んでおくと良いでしょう。

なお、運用業務という観点で見た場合、新規のページを制作するよりも、広告で使用するバナー画像等の作成を依頼する方が多くなるでしょう。その場合、画像1点につき数千円〜数万円程度が相場となります。

コーディング

HTMLやCSSやJavaScriptなどを用いて、デザイナーが制作したデザインを実際のWebページにしていく作業のことです。
デザイン同様、工数で計上するケース、項目単価で計上するケースの両方があります。項目単価で計算する場合、CSS設計、ベースとなるHTML制作、JavaScriptの実装はそれぞれ3〜5万円程度、汎用的な下層ページのコーディングはベース作業の何割かで計算することが一般的です。

コーディングも運用業務の場合はイチからページを制作するよりも、一部ページの改修や調整などを依頼することが多いと思いますが、その際には工数で計算することが多いと思います。

システム開発

各種フォームや検索機能の実装など、Webサイトの中で動的に動く部分の開発を指します。依頼内容によって作業や金額は大きく変わるため、一概に金額感を言うことはできませんが、新規でフォームを制作する場合や、検索機能を充実させたい場合には、数十万~数百万円掛かることも珍しくありません。
その作業内容に応じて工数で算出するのが一般的でしょう。

運用・保守費

運用・保守費とは、Webサイトが完成した後、Webサイト運用時のサポートやメンテナンスなどを依頼する場合にかかる費用です。Webサイトのバグ対応、 CMSのバージョンアップ 、セキュリティ対策などです。
都度の依頼も可能ですが、継続的に行うものなので月単位の計算が多いです。費用は求める保守内容にもよりますので、月次の予算を用意したうえで「この費用内でできること」を制作会社と協議して決めることを推奨します。
定例ミーティングがあるのか・レポート提出があるのか?なども各社違いますし、ここに前述した、"アクセス解析・SEO対策"などが含まれる場合もあります。
どこまでの対応をしてもらえるのか、別途、保守契約の条件や内容もしっかり取り決めていきましょう。

Webサイト制作や運用の費用に各社幅がある理由

今回は一般的なWeb制作や運用における、それぞれの工程で発生する主な業務の費用感を紹介していきました。
ここまでお読みいただいた方はイメージが付くと思いますが、Web業界は他の業界に比べて「相場」がやや曖昧な部分があります。
それはプロジェクトの条件が一律でなかったり、進行中に要件が変更になったりするためです。
また制作会社によってアピールポイントが異なるため、人日単価や項目単価にも差が出てきます。そのため、「このカテゴリが安いからいい会社」「この項目が他社より高いのはおかしい」とは言い難い部分があるのです。

Web担当者として心がけるべきことは、見積もりの中でわからないポイントがあれば率直に聞いて理解を深めると同時に、自社のニーズと照らし合わせて、削るべきではないところを削らないように注意していくことです。

Webサイト制作・運用 相見積もりチェックの際の注意点

・一気に相見積もりを取りたい
・急いでとりあえず費用感が知りたい
・とにかく打合せは面倒だからメールですぐに欲しい

という方も多いと思いますが、要望や希望がざっくりしすぎていると、制作会社も「この程度かかるであろう」という簡易見積もりしか提出できないため、よくよくヒアリングしてみると、あとから必要な作業が色々出てきて当初の見積もりと大きく変わって費用が膨れ上がってしまった…というお声もよく聞きます。
見積もりの対象となる作業範囲を明確に出してもらう・こちらからあらかじめ指定しておくなど、注意が必要です。

ディレクターとの打ち合わせで初めて"こんな作業も必要だったのか"と、必要な項目が正しく理解できる場合も多いので、メールやまとめて依頼するタイプの簡易見積もりだけではなく、できるだけ正確な見積もりを提出してもらえるよう、電話やWeb会議を30分程度行うことも、面倒かもしれませんが大切なことです。

提出された見積もりの説明の場を提案された場合も、"だいたい項目もわかったし、忙しいしもう大丈夫"と思わず、是非聞いてみてください。自分たちの大切な自社サイト制作を任せる上で、どんな制作会社なのか?どんなディレクターがいるのか?を見極めるのも重要です。

担当者の
・説明力
・ヒアリング力
・積極性
・提案力

はどうでしょうか?
とくに、聞かれたことだけにしか答えない・質問に対して専門用語ばかり使って回答してくる…などの場合、制作をお任せしても、積極的な提案がなく、お客様の目線に合わせたサポートやコミュニケーションは難しそう…ということが予想できます。
会話をする中で、本当に信頼できる制作会社か?をチェックしてみましょう。

他には、メールの返信までの時間も確認してみるのも手です。質問を投げかけても丸2日何も音沙汰無し…というような制作会社だと、実際の作業の際もスピードある対応が望めない可能性が高いので注意が必要です。

まとめ

Webサイトは会社の大切な資産です。
見積もりの中に書いてある"費用"だけで判断するのではなく、総合的に見て是非お願いしたい!と思える企業に発注しましょう。

アリウープは、常にお客様と丁寧なコミュニケーションを取りながら業務を進めていくことを心がけています。
疑問点などがあればいつでもお気軽にご連絡くださいませ。
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監修

Kunihiko Tajima

Account Director /
Manager

CMSに関わる案件を中心に、Web業界で約10年間ディレクターに従事。アリウープでは、プレイヤーとしてPJ管理やCMS構築ディレクションを担いながら、ディレクショングループマネージャーも兼任。
オンオフはしっかりと分け、休日は娘と過ごす時間を大切にしています。