Blog東京・大阪のWeb制作会社アリウープのナレッジBlog
「ヘッドレスCMS」とは?初心者でもわかりやすい特徴やメリットデメリット
- 2023.10.16
- knowledge
多くのWebサイトを支える存在である「CMS」。Webビジネスの根幹とも言えるこのツールに、近年変化の波が訪れています。「フロントエンド」、つまり「ヘッド」部分がない「ヘッドレスCMS(Headless Content Management System)」が普及拡大していることです。
ヘッドレスCMSが普及するとWeb制作はより効率的で自由になっていくと見られているため、Webマーケティングで成果を上げたい企業にとってはその存在は無視できないものとなっているのです。
そこで今回は、ヘッドレスCMSの特徴やメリット・デメリットなど、押さえておくべき基本のポイントを紹介していきます。
index
ヘッドレスCMSとは何か
冒頭で触れたように、ヘッドレスCMSとはフロントエンドがないCMSを指します。フロントエンドとはWebサイトやアプリケーションにおいて直接ユーザーの目に触れ、ユーザーが操作できる部分のことです。
WebサイトのUI、デザイン、画像・動画、テキストなどをひっくるめて「フロントエンド」と称します。このフロントエンドと対の関係にあるのが「バックエンド」です。バックエンドは、サーバやデータベースといったユーザーからの目には触れずに、ユーザーが入力したデータの処理や保存、出力といったことを行っている部分を指します。
従来のCMSはフロントエンドとバックエンドが一体化されていて、ひとつのシステムの中でWebサイトの表側も裏側も制作・管理していました。一体化されているとページ作成に必要な基本的な機能はすべて備わっているため、Web制作の専門知識やスキルを持たない方であっても簡単に扱うことができます。
この点こそが従来のCMSの最大の特徴でもあったのですが、ヘッドレスCMSはデザインやコンテンツの作成・管理を担うフロントエンド部分を切り離し、バックエンドに関する作業だけを行えるようになっています。切り離されたフロントエンド部分の開発は、外部のAPIを用いて作成することになります。従来のような一体型のCMSを「カップルドCMS」、ヘッドレスCMSのように分離したCMSを「デカップルドCMS」と呼ぶこともあります。
では、バックエンドとフロントエンドを切り離すことにどのような意味があるのでしょうか。
詳しいメリットやデメリットは後ほど説明しますが、従来のカップルドCMSの場合、知識やスキルを持たなくともページを作成できていた反面、バックエンドとフロントエンドが関わり合うため開発の自由度に制限が掛けられていました。しかしその関係性を切り離すと、別のサービスも活用する必要はあるものの、開発の制限が取り払われるため、より自由に、より高度なWebサイトの制作が可能となります。
現代のWebサイトはよりフレキシブルに、よりスピーディーにユーザーの要望に応えていく必要があるため、このように開発の自由度が高く、柔軟な対応ができるCMSが求められるようになっているのです。
ヘッドレスCMSのメリットとデメリット
ここからはヘッドレスCMSのメリットとデメリットを紹介していきます。いずれの視点でも「自由度」が格段に高まる点がポイントとなります。
ヘッドレスCMSのメリット
- マルチデバイス対応がしやすい
通常、CMSにはコンテンツを表示するプレビュー(ビュワー)という機能があります。このプレビューを通じてWebページの表示確認を行うことができますし、PCやスマートフォンなど、デバイスごとの見た目も確認できます。
しかしフロントエンドが切り離されたヘッドレスCMSはプレビューも独立しているため、必要に応じてフロントエンドを用意・追加したりしながら対応していくことになります。
プレビューがないことは不便に思えるかもしれませんが、複数のフロントエンドを活用できるということは、PC、スマートフォン、スマホアプリ、デジタルサイネージ、音声デバイスなど、多くのデバイスごとに独自にフロントエンドを構築できるということを意味しているので、それだけデバイスごとの戦略に応じて制作が可能になるのです。
従来のCMSでも自動的にレスポンシブ対応を行う機能が備わっていますが、その多くはデバイスごとに表示サイズを変更する程度のものです。したがって、デバイスごとにより高度な対応をしたい場合にはヘッドレスCMSの方が適していると言えます。
- 開発自由度の向上
従来のCMSでは、何らかの変更を加えたい場合にはフロントエンドとバックエンドの両方を修正しないといけないというケースが多くありました。しかしヘッドレスCMSの場合は、フロントエンドに手を加えてもバックエンドに影響を及ぼすことはありませんし、逆もまた然りです。
また、上述したように複数のフロントエンドを用意し、必要に応じて追加したり変更したりもできます。これにより、ユーザーが求める機能やコンテンツを制作する上での制限は少なくなり、より自由な開発が可能となります。
- 表示速度の向上
カップルドCMSは、「データベースにアクセス→ファイル生成→出力」というステップを踏んでいました。しかしヘッドレスCMSはこの工程を経る必要がないため、表示速度が従来よりも速くなっています。
表示速度のスピードはユーザーの満足度だけでなく、検索エンジンからの評価も左右する要素であるため、SEO効果にも関係していきます。
- サーバコストの削減
フロントエンドを切り離しているということは、サーバ側で処理するデータ量も減るため、サーバに求めるスペックも低くなることを意味します。その分サーバに掛けるコストを下げることができます。
- セキュリティ面での強み
様々なCMSの種類がありますが、中には攻撃対象に狙われやすいものもあります。
しかし、 ヘッドレスCMSでは、コンテンツの管理とデータベースはバックエンドで完全に分離されているので、コンテンツデータへのアクセスを制御し、不正アクセスを防ぐのに役立ちます。
不正なデータベースへのアクセスが一般的なCMSより難しくなり、セキュリティが向上します。
ヘッドレスCMSのデメリット
- Web制作の専門知識やスキルが求められる
従来のCMSの場合、Web制作の専門知識やスキルを有していなくても、使い方さえわかれば問題なく基本的な更新作業はできるでしょう。
しかしヘッドレスCMSの場合、フロントエンド部分とバックエンド部分の開発、APIに関する知識・スキルなどが求められます。また、既存のCMSの場合は拡張機能やデザインテンプレートなどが用意されていますが、ヘッドレスCMSには搭載されていないため、必要に応じて自ら開発することになります。
このように、開発や運用には深い知識やスキルが求められることになるため、運用にはエンジニア職の方が携わる必要がでてきます。
- 運用のコストが増える
上記した知識やスキルが求められることに加え、更新の際にはフロントエンドとバックエンドそれぞれに気を配る必要があります。何か急ぎの更新があっても一般的なCMS操作とは違い、"ちょっと自分で変更しよう”ということは難しく、その分作業手順が増えたり、更新に時間を要したりと、従来よりも運用の手間が増える可能性が高いです。
結果的に、 時間、お金の両面で、運用コストが増大する可能性があるのです。
ヘッドレスCMSの導入は自社の事情を見極めてから
ここまで紹介してきたように、ヘッドレスCMSはWebマーケティングで一歩先行くためにはとても有用なツールですが、その反面、だれでも簡単に扱えるものではありません。
そのような中でヘッドレスCMSを入れるかどうかは、自社の状況、予算、運用体制などをしっかり見極めてからにしましょう。
では、どのようなケースであればヘッドレスCMSを導入すべきなのでしょうか。
それは、第一に、同一のコンテンツを異なるデバイスに配信したい場合です。ヘッドレスCMSはマルチデバイス対応がしやすいという点が大きなメリットであり、それを活かしたい企業にはオススメができます。また、よりダイレクトにユーザーに関わり、スピーディーかつ柔軟な対応が求められるECサイトなども、ヘッドレスCMSを導入することで顧客満足度を高めることができるでしょう。
ただし、ヘッドレスCMSは得られるリターンに対して、運用面でのリスクも大きいものとなります。そのため、本当に必要なのかを見極めてから導入する必要があるということです。
「CMSを導入したいけれど本当に自社に必要なのかわからない」
「今のCMSで良いのか専門家に聞きたい」「効率よく更新したいが、自社にあったCMSについて知りたい」
…というお悩みをお持ちの方は、豊富なCMS導入実績を持つアリウープにぜひご相談ください。
■自社にはどれが合う?サイト種類別オススメCMS【チェックシート付き】 資料ダウンロード
数多あるCMSの中から自社に最適なCMSを選定することは簡単ではありません。 表層的な理由だけで選定してしまうと、サイト価値の向上は実現できないのです。重要なのは「課題ありき」から始めること。
本当にその選定であっていますか?「CMS選定に役立つチェックシート」 で一緒に確認してみましょう!
ダウンロードはこちらから↓
■Web Designing2023年10月号CMS特集に弊社田島のインタビューが掲載されました!
Web関連のお仕事をされている方に人気の業界紙 【Web Designing】ですが、CMS特集の10月号はチェックされましたか!?
アリウープは2019年からCMS特集で何度か取材いただいており、今年は12ページにもなる大ボリュームの内容となっております! CMSに関するお困りごとがあればぜひ田島にご相談ください!