【RFP(提案依頼書)作成・テンプレートサンプル(Word)あり】サイトリニューアルコンペを成功へ導く完全ガイド

Blog東京・大阪のWeb制作会社アリウープのナレッジBlog
クラウドを活用したWebサイト制作は今や主流となりつつあります。その中でも、Amazon Web Services(AWS)は高い信頼性と柔軟性を持ち、多くの企業が採用しているクラウドプラットフォームです。
しかし、「AWSって何?」「普通のホームページ制作と何が違うの?」と疑問を抱く方も多いはずです。本記事では、AWSの全体像からWebサイト構築への活用方法、メリット・デメリット、運用時の注意点などを、初心者さんでも理解できるように丁寧に解説していきます。
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供する世界最大規模のクラウドサービスです。サーバー、ストレージ、データベース、セキュリティなど、ITインフラに必要な機能をインターネット経由で利用できる仕組みです。
※クラウドとは、物理的な機器を自分で所有せず、インターネット経由で必要なITリソース(サーバー、ストレージ、ネットワーク、データベース、AIなど)を利用できる仕組みを指します。
AWSは、単なる「オンライン上のサーバー」ではありません。200以上のクラウドサービスで構成されており、仮想サーバー、データベース、ストレージ、AI、IoT、分析ツール、アプリケーション開発基盤など、あらゆるITインフラをクラウド上で利用できます。そのため、Webサイトの運用から業務システムの構築、データ分析、機械学習まで、幅広い業務に対応可能です。
AWSが世界中で支持されているのは、簡単にまとめると以下のような理由があります。
このようにAWSは、もはや単なる「クラウドサービス」ではなく、企業のIT戦略を根本から変革するためのプラットフォームと言えるでしょう。
クラウドとは従来のように自社で物理的なサーバーを持たず、インターネット経由で必要な分だけリソースを借りて使える仕組みです。AWSはその代表格で、今や個人のブログから官公庁、大手企業まで幅広く導入されています。
クラウドサービスのAWSを理解するには、まず「オンプレミス」との違いを押さえておくことが大切です。オンプレミス(on-premises)とは、自社内にサーバー機器を設置・管理して運用する従来の方式を指します。
オンプレミスでは、サーバー機器やネットワーク機器を自社で購入・設置し、社内の情報システム部門が運用・保守を行います。この方法には以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
【デメリット】
※CMSは「オンプレミス」と「クラウド」、どちらにすべき?の記事もご覧くださいhttps://www.alleyoop.co.jp/blog/510/
一方で、AWSのようなクラウドサービスを活用すれば、自社でサーバーを設置する必要はなくなります。AWSの管理コンソールやAPIを通じて、仮想サーバーの起動・停止、ストレージの追加、ネットワークの設定などをインターネット上から自由に操作できます。
主な利点は以下です
従来のIT環境では、物理的なサーバーや設備を自社で購入・設置・運用する必要がありました。これには初期費用や人手、時間がかかります。
一方AWSでは、サーバーやストレージなどを「必要なときに」「必要な分だけ」借りることができます。これは、水道や電気を使うときだけ料金が発生するようなイメージです。これにより、初期投資を抑えつつ、柔軟なシステム構築が可能になります。
従来のシステム構築では、サーバー機器の発注や設定、設置作業などに数週間〜数ヶ月かかることもありました。
しかしAWSでは、管理画面から数クリックでサーバーやストレージなどのサービスを開始できます。これにより、開発やサービス提供までのスピードが大幅に短縮され、ビジネスの立ち上げや改善が迅速に行えます。
たとえば、ECサイトでセールを行うとアクセスが急増します。AWSでは、そのような一時的なアクセス増に合わせて、システムの処理能力(サーバーの数など)を自動で拡張できます。必要がなくなれば自動で縮小も可能です。
この「オートスケーリング」機能により、常に最適なリソースを保ちながら無駄なコストを抑えることができます。
AWSは世界中にデータセンター(リージョン・アベイラビリティゾーン)を持っており、どの国でも安定してサービスを利用できます。日本国内にも複数のデータセンターがあるため、低遅延で信頼性の高いシステム運用が可能です。
また、データのバックアップや災害時の復旧機能も強力で、大企業から官公庁まで安心して利用されています。
AWSは、金融機関や政府機関が求める厳格なセキュリティ基準にも対応しています。データの暗号化やアクセス制御、定期的な監査など、企業の信頼を支える多層的なセキュリティが提供されているのが特徴です。
また、世界中の法令や業界標準に対応したコンプライアンスプログラムも整備されており、日本国内の個人情報保護法(APPI)や金融庁のガイドラインにも準拠しています。
AWSでは200以上のクラウドサービスが提供されており、単なるサーバー提供にとどまりません。AI、ビッグデータ分析、IoT、機械学習、ブロックチェーンなど、最先端のIT技術を簡単に利用することができます。
豊富なサービス群により、スタートアップから大企業、公共機関まで幅広いニーズに対応できるのが大きな魅力です。
ーーー
上記のように、AWSの最大の特徴は「柔軟性・スピード・信頼性・安全性・拡張性」です。
従来のオンプレミス(自社設置型)に比べて、導入も運用もスムーズで、コストや時間を大幅に削減できるという特徴があります。
ここではいったんAWSのメリットについて触れましたが後ほどデメリット・注意点の説明もいたしますね。
全体像を理解したところで、次はAWSでのWebサイト構築について見ていきましょう!
まず、特徴でも記載したように、AWSといえば柔軟性と拡張性が大きな強みです。アクセスが増えても自動的にリソースを増やせる「スケーラビリティ」、世界中のユーザーに対して高速にページを配信できる仕組み「CDN(Content Delivery Network)」などがあります。
AWSではこのCDN機能を「Amazon CloudFront」として提供しており、ユーザーの近くのサーバーからコンテンツを配信することで、表示速度の向上やサーバー負荷の軽減が可能になります。
さらに、セキュリティや障害耐性も優れており、大手企業や官公庁などが採用しているのも納得の性能です。スタートアップからグローバル企業まで、あらゆる規模の事業者に対応できるというのが、AWSでサイト構築する魅力なのです。
AWSの大きな特徴の一つは、先ほども記載しましたがアクセス数に応じてリソース(サーバーの容量や処理能力)を柔軟に増減できる「スケーラビリティ」にあります。
たとえば、テレビやSNSで取り上げられたことで一時的にアクセスが急増するようなケースでも、AWSでは自動的にサーバーを拡張して負荷に対応することが可能です。
これにより、Webサイトが「重くなって開けない」「落ちてしまう」といったトラブルを未然に防ぐことができるのです。しかもこの拡張は自動で行われるため、管理者がリアルタイムで操作する必要もなく、非常に安心感があります。
また、AWSのサーバーは世界各地のデータセンターで運用されており、耐障害性・可用性も非常に高いのが特長です。自然災害やシステム障害が発生した場合にも、別のリージョンや可用ゾーンに自動的に切り替える機能があり、サービスの継続性を高いレベルで担保する仕組みが整っています。
AWSはセキュリティ対策の面でも業界最高水準を誇ります。データはすべて暗号化され、アクセス権限は細かく制御可能です。万が一の事態に備えたバックアップ体制や障害復旧機能も充実しており、多くの金融機関や政府機関でも採用されているほど高い信頼性があります。
AWSは単なるサーバー提供サービスではありません。多数のサービスを備えており、その中から必要なものだけを選び、柔軟に組み合わせて使うことができます。
たとえば、Webサイトを高速に配信するためにCDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービス「CloudFront」を使ったり、画像や動画を効率的に保存するために「Amazon S3」を利用したり、フォームから送信されたデータを自動で処理する「Lambda」や「DynamoDB」を組み込むことも可能です。
これらのサービスを組み合わせることで、静的サイト、動的サイト、ECサイト、ポータルサイトなど、あらゆるニーズに対応したWeb構成を構築できます。
つまりAWSは、単純なホームページだけでなく、より複雑で多機能なWebサイトも実現できる拡張性を持っているのです。
AWSでは、アカウントを作成すれば即座にサービスの利用を開始できるため、初期の契約手続きや申請などが不要です。加えて、無料利用枠が設けられており、EC2(仮想サーバー)やS3(写真やファイルなどをインターネット上の金庫に安全に保管できるサービス)など主要サービスの一部は1年間無料で利用することもできます。
これにより、まずは小さく始めてテスト・検証を行い、本格的な運用に向けて段階的にスケールアップする、といった段階的な導入がしやすく、企業だけでなく個人やスタートアップにも適しています。
AWSは従来のサーバー契約のように「月額いくら」といった固定料金ではなく、「使った分だけ課金される」従量課金制を採用しています。これにより、小規模なWebサイトや期間限定のキャンペーンページなどにも柔軟に対応することができ、無駄なコストを抑えやすくなります。
たとえば、平常時は1台の仮想サーバー(EC2)だけで運用し、イベント時だけ2台に増やすといった運用も可能です。使っていない時間帯はスケールダウンすることもできるため、最適なコストでパフォーマンスを維持することができます。
さらに、あらかじめ長期間の利用を予約すると、大幅な割引を受けられる「リザーブドインスタンス」といった割引制度を利用することで、最大で数十パーセントのコスト削減が可能になります。こうした選択肢の多さも、AWSならではの魅力です。
システムが提供している機能やサービスが停止・中断する頻度や時間を少なく利用できます。
また、多言語サイトや海外アクセスにも強く、例えばアジア拠点向けには東京リージョン、欧州向けにはフランクフルトリージョンなど、グローバル展開も視野に入れた設計ができます。
AWSは世界各地にデータセンター(リージョン)を展開しており、日本国内はもちろん、海外ユーザーへの表示速度も高速です。
※リージョンとは、AWSが世界中に展開しているデータセンターの所在地(エリア)のことです。
たとえば、東京、大阪、北バージニア(アメリカ)など、世界各地にリージョンが設置されており、ユーザーは自分の用途に応じてどのリージョンでサービスを利用するかを選ぶことができます。
Webサイトを構築する際、どのリージョンを選ぶかは、「ユーザーの近くにあるリージョンを選ぶことで通信速度が速くなる」「国内リージョンを使うことで法律やデータ保護要件に対応しやすくなる」といった点で重要です。通常、日本国内でWebサイトを公開するなら「東京リージョン」が選ばれることが多く、信頼性や低遅延を確保できます。
AWSは多機能であるがゆえに、最初に利用を始める際に戸惑うユーザーが少なくありません。EC2(仮想サーバー)を立ち上げてWebサイトを公開するまでにも、セキュリティグループの設定やVPCの構築、SSLの取得・設定など、専門用語が頻繁に登場し、ITに不慣れな方には非常にハードルが高く感じられるでしょう。
特にWordPressなどのCMSを一からインストールする場合、通常のレンタルサーバーとは違い、Linuxの操作やコンソールでのコマンド入力が必要になることもあります。そのため、技術的な知識が乏しい初心者がAWSを「誰でも簡単に使えるサービス」として捉えるのは危険です。
初心者の場合は、AWSのマネージドサービス(例:Lightsailなど)を使ったり、信頼できる制作会社に構築から運用までを一貫して依頼するのが現実的な選択肢となるでしょう。
AWSの料金体系は「従量課金制」が基本で、メリットとして先ほど記載しました。
つまり、使った分だけ課金されるのですが、これが初心者にとっては落とし穴になりがちです。
例えば、EC2を常時稼働させているとインスタンスの利用料だけでなく、データ転送量、EBS(ストレージ)の料金、SSL証明書、CloudFront(CDN)など、あらゆる機能が別々に課金されます。
このため、事前に正確な月額料金を見積もることが難しく、「気づいたら思った以上の請求額が届いていた」といったトラブルが発生しやすいのです。
コストを抑えるためには、無料利用枠の範囲を活用する・使っていないリソースを定期的に削除する・CloudWatchなどで使用量をモニタリングする・リザーブドインスタンスを活用する・・・
などの工夫が必要です。しかし、こうした対策自体にも一定の知識が求められるため、気軽に使えるものではありません。
AWSには無料のベーシックサポートがありますが、これはあくまで「障害が起きた際のサービス稼働状況の確認」程度の機能しかなく、技術的な問い合わせには対応していません。
実際に「Webサイトが表示されなくなった」「SSLの設定がうまくいかない」などの技術的なトラブルに対してサポートを求める場合は、有料のサポートプラン(Developer、Business、Enterpriseのいずれか)に加入する必要があります。
中でもBusinessサポート以上でないと、24時間365日の対応や構成アドバイスなどは受けられません。つまり、初心者が自己解決しようとすると、かなりの時間と労力を要するだけでなく、必要なサポートが受けられずにトラブルが改善されないまま、放置されてしまうこともあり得ます。
そのため、AWSを使ってWebサイトを構築する場合には「いざという時に頼れる人材・会社があるか」「どのサポートプランに加入しておくべきか」を事前に見極める必要があります。
WebサイトをAWS上で公開することはゴールではなく、むしろスタートに過ぎません。
実際には公開後にもセキュリティアップデートの適用、インスタンスのスケーリング、バックアップの設定、障害発生時の復旧対応など、継続的な運用・保守が不可欠です。
たとえばEC2を使ったWebサイトでは、OSのアップデートやセキュリティパッチの適用を自分で行わなければならず、何もしないで放置するとセキュリティリスクが高まります。こうした点は、サーバー管理が不要なレンタルサーバーやマネージド型CMSと比べて、明らかな手間と責任の違いがあります。
AWSを本格的に活用するためには、「構築」よりも「継続的な運用」が大変だという現実を受け入れたうえで体制を整える必要があります。
ーーー
特に「ビジネスの成長にあわせて柔軟に拡張したい」「将来的にECやデータ連携も視野に入れたい」といった中長期的な視点を持つ企業には、AWSは非常に心強い選択肢となるでしょう。
とはいえ、初期構築や運用の設計には専門的な知識が求められるため、「誰でも簡単に使える」わけではありません。だからこそ、導入段階から信頼できる制作会社に相談し、パートナーとして共にAWSを活用していくことが、成功への第一歩になります。
前述している、セキュリティと法的リスクについてもう少し説明します。
クラウドへの不安として多く挙がるのが「セキュリティ」と「法的リスク」です。AWSではこれらの領域にも高度な対策が可能ですが、利用者側にも一定の責任が伴います。
AWSを利用する際は、高いセキュリティ基準が用意されているとはいえ、すべてが自動的に安全に保たれるわけではありません。実際の運用では、企業ごとに対応すべき範囲があり、特にWebサイトの設計・構築・運用を行う際には、自社で守るべきセキュリティのポイントを把握して対策を講じることが不可欠です。
たとえば、SSL証明書の導入と更新、アクセス制御の設定、ログの保存・監視、データの暗号化などは、AWSのサービスを使いこなすだけではなく、自社の体制として準備と運用ルールを整える必要があります。
また、社外への情報漏洩を防ぐために、誰が何にアクセスできるのかを明確に管理し、不要な権限を与えないようなポリシーも重要です。
さらに、コンプライアンス(法令順守)の面でも、保管するデータの種類によっては国内外の法規制を意識した設定が求められます。特に個人情報や医療・金融データを扱う場合、そのデータをどこに保管するか、どのようにアクセスが制御されるかといった運用ルールの明文化が不可欠です。
AWSの仕組みを理解した上で、「何をAWSが提供し、何を自分たちで準備・管理すべきか」を具体的に整理することが、クラウド時代のセキュリティとコンプライアンス対応において非常に重要なポイントとなります。
多くのルールや基準に対して、AWSがどこまで対応しているかを文書で確認できるようになっています。AWSの公式サイトhttps://aws.amazon.com/jp/では、これらを一覧で確認できますので目を通しておきましょう。
ーーー
AWSを安全に活用するには、アクセス権限の最小化、通信の暗号化、ログの監視といった基本対策に加え、業種や地域ごとの法令(コンプライアンス)にも対応した設定が重要です。AWSにはこうした管理を支援する各種ツールが用意されており、計画的な運用設計が信頼性を左右します。
いきなり全てを理解するのは難しいですが、こういった知識も必要だということを頭に入れておきましょう。
次は、AWSでのWebサイト構築に関連する主なサービスについて見ていきます。
Webサイト制作において、AWSは「サーバーだけを貸し出す」だけではありません。以下のような構成で、企業サイトやECサイトの制作・運用が可能です。
Amazon EC2は、インターネット上に「仮想のパソコン(サーバー)」をつくるサービスです。
このサーバーの中に、WordPressなどのCMSを入れたり、HTMLファイルを置いたりすることで、自分のWebサイトを公開できます。
自由度がとても高く、自分の思い通りにカスタマイズできますが、初期設定や運用の知識はある程度必要です。技術に自信のある方やWeb制作会社が使うことが多いです。
Amazon S3は、Webサイトの画像・動画・HTMLファイルなどを保存し、インターネット上に配信できるサービスです。
「ファイル置き場」のようなイメージですが、設定によってはS3単体でWebサイトを公開することもできます(静的サイトといいます)。
軽量な企業サイトやランディングページなど、ページ構成がシンプルなサイトによく使われます。
Route 53は、「example.com」のような独自ドメインを管理し、Webサイトに正しくアクセスできるようにするサービスです。
インターネット上で、訪問者を正しいWebサーバーに案内してくれる「住所案内係」のような存在です。
AWS内のサーバーと一緒に使うことで、スムーズで安定したサイト運用ができます。
CloudFrontは、世界中にあるサーバーを使って、あなたのサイトを「より早く・より安全に」見せるためのサービスです。
たとえば、日本からでもアメリカからでも同じように速く表示されるように、世界中のユーザーに近い場所からデータを届けてくれます。
大規模なサイトや、画像・動画が多いサイトで特に効果的です。
RDSは、簡単に言うとお問い合わせフォームやログイン機能など、サイト内の「ユーザーデータ」を管理するデータベースを簡単に運用できるサービスです。
WordPressなどのCMSでも必須の機能です。自分でサーバーを用意して設定するよりも、安全で安定した環境を簡単に作れます。
Amplifyは、ソースコードをGitHubなどにアップしておくだけで、自動でWebサイトを公開できる便利なサービスです。
特に、ReactやVueなどを使ってWebアプリを作る開発者に人気があります。
技術に慣れていない方にはややハードルが高いですが、自動ビルド・自動デプロイといった機能で効率的なサイト構築が可能です。
Lightsailは、EC2よりも簡単に、サーバーとWordPressなどのCMSをまとめて立ち上げられるサービスです。
初期費用が抑えられ、料金体系もわかりやすく、初心者がAWSでWebサイトを始めるにはぴったりの選択肢です。
特に中小企業や個人事業主のホームページ制作に向いています。
ーーーー
AWSには、Webサイト構築のために使えるサービスがたくさんあります。
「どのサービスをどう組み合わせるか」は、サイトの目的・規模・運用体制によって大きく変わります。初心者にとっては少し複雑に感じるかもしれませんが、逆に言えば、どんなニーズにも対応できる柔軟なサービス群ともいえます。
また、Webサイトのタイプによって異なりますが、代表的な構成は以下の通りです
ご自身のサイトはどれが適切なのか確認してみましょう。
AWSを使えば高性能で柔軟なWebサイトが構築できますが、導入前にはいくつかの重要な確認事項があります。ただ導入するだけでは期待通りの効果が得られないこともあるため、以下のポイントをしっかり理解してからスタートしましょう。
まず、Webサイトの「目的」と「利用規模(トラフィック、データ量など)」を明確にしましょう。
たとえば、ブランドの紹介だけの小規模なコーポレートサイトなのか、ECサイトのように大量アクセスとデータ処理が求められるのかで、構成や必要なAWSサービスが大きく変わります。
AWSは自由度が高い反面、設計を間違えるとコストがかさんだり、パフォーマンス不足に陥ったりします。構築前にゴールを明確にすることが、最適な設計への第一歩です。
AWSは非常に多機能で便利な反面、使いこなすには一定の知識が必要です。
「Webサイトの更新は自社で行いたい」「社内にサーバー管理の知識がない」といった場合は、管理しやすい構成や、Web制作会社・AWSパートナーへの依頼を検討する必要があります。
すべてを自社内で対応しようとして失敗するケースも多いため、社内のスキルやリソースを客観的に評価することが大切です。
AWSは使った分だけ課金される「従量課金制」が基本ですが、構成やトラフィックによっては月々のコストが予想より高額になることもあります。
導入前に「初期構築費用」「毎月の運用費用」「バックアップやセキュリティ強化の追加費用」などをシミュレーションしておきましょう。
無料枠の範囲内に収まるケースもあれば、EC2・RDSなどをフル活用すると月数万円〜数十万円になることも。コスト管理は成功のカギです。
AWSでは、有料のサポートプランに加入しないと技術サポートが受けられないケースがあります。
また、障害発生時の初動対応や、ログ監視、セキュリティ対応なども、自社での運用が前提になります。
Webサイトのトラブルは「表示されない」「遅い」など、すぐにユーザーに影響が出ます。制作会社や運用パートナーと連携し、トラブル対応フローを用意しておくと安心です。
AWSは成長とともに柔軟にスケールできるのが特徴です。ただし最初からすべての機能を使いこなす必要はありません。
むしろ、初期段階では最小構成にとどめて、アクセス数や利用状況に応じて段階的に拡張する設計が現実的です。
拡張性のある構成は、将来的なビジネス成長にも対応できます。スモールスタートで無理なく始めることが、AWS活用成功への近道です。
ーーー
このようにAWSを活用したWebサイト構築は、高い自由度と拡張性を活かすことで、企業のビジネスを力強く支える基盤になります。
しかしその反面、設計や運用のハードルもあり、「何となく良さそうだから」で導入するのは危険です。
次に、AWSを利用したWebサイト制作・構築での注意点を見ていきましょう。
AWSはWebサイトのインフラ基盤として非常に柔軟かつ高性能ですが、適切に構成・運用しなければ、トラブルやコスト増の原因になることもあります。
注意点の一例をあげましたので、こちらも確認しながら導入を進めましょう。
たとえば、静的なコーポレートサイトであれば「Amazon S3 + CloudFront」で高速・低コストなホスティングが可能です。一方、CMSを使用した動的サイトでは「Amazon EC2」や「AWS Lightsail」など、サーバー構成を慎重に選定する必要があります。
オンプレミスとは異なり、AWSではインフラ管理の自由度が高い一方で、セキュリティパッチの適用やリソース監視などを自社で行う必要があります。社内に技術者がいない場合は、運用を委託できる制作会社やパートナー企業の選定も慎重に検討すべきです。
ECサイトやキャンペーンページでは、急なアクセス集中に備えた設計が求められます。オートスケーリングの設定やキャッシュ制御を最初から組み込んでおくことで、サイトダウンを未然に防ぐことができます。
AWSはあらゆる業種・規模の企業で利用されていますが、特に以下のような企業に向いています。
サービスリリース初期はコストを抑えつつ、小規模な構成で始め、需要に応じてシームレスに拡張できるのがAWSの強みです。事業成長のスピードに合わせてインフラを柔軟にスケーリングできます。
AWSは世界中にデータセンター(リージョン)を持ち、CloudFront(CDN)を活用すれば、グローバルに高速配信が可能です。多言語サイトや海外向けサービスを運用する企業にも最適です。
金融・医療・公共機関など、高度なセキュリティ基準を求められる分野では、AWSのセキュリティ機能(IAM、WAF、Shieldなど)やコンプライアンス対応の豊富さが評価されています。
AWSは自由度が高いため、自社で設計・構築・運用まで対応できる開発チームがあると、コストを抑えながら最適なシステムを実現できます。逆に技術的リソースがない場合は、制作会社などの支援が必須です。
セキュリティと法的リスクの章でもふれていますが、AWSは高いレベルのセキュリティ対策が整ったクラウドサービスですが、すべてを自動で守ってくれるわけではありません。
たとえば、サーバーやデータベースの設定、アクセス制御のルール、パスワードの管理などは、利用者自身が設定・管理する必要があります。
たとえAWS自体のインフラが堅牢でも、ユーザー側の設定ミスや管理の甘さによって情報漏洩や外部からの不正アクセスが発生するリスクがあります。特に初心者の場合、初期設定のまま公開してしまったり、不要なポートを開放してしまうミスが起こりやすいため、セキュリティの基本知識を理解したうえで運用に臨むことが大切です。
AWSは従量課金制で柔軟に使える反面、設計ミスや不要なリソースを放置すると月額数十万円になるケースもあります。
AWSはインフラとしての自由度が高い反面、構成管理やログ監視などの運用が利用者側に委ねられます。
必要な運用タスク例 |
工数・スキル |
サーバーのOSアップデート ⇒ |
月1回以上、Linuxの知識が必要 |
アクセス・エラーログの確認 ⇒ |
セキュリティ対応含めた分析が必要 |
インシデント発生時の原因特定 ⇒ |
インフラ〜アプリまでの幅広い調査能力が必要 |
ーーー
社内に適切なスキルを持った担当者がいない場合、トラブル対応が大きな負担になります。
マーケティング部門が「もっと速くしたい」「フォームを変えたい」と要望しても、
インフラ環境やCMSの構成によっては対応に時間がかかる、連携が煩雑になるといった問題が生じます。「技術」と「コンテンツ改善」をバランスよく行うためには、部門を超えた連携体制や信頼できる制作会社など、外部パートナーの協力があれば安心です。
AWSの利用には多くのメリットがありますが、初心者や非エンジニアが利用する場合、以下のようなトラブルが起こることもあります。
トラブルを未然に防ぐようにしていきましょう。
「使った分だけ支払う」という従量課金制は便利ですが、インスタンスの停止忘れや、ログ保存によるS3使用量の肥大化、EBSスナップショットの無管理などにより、想定外の請求が来るケースがあります。
対策: コストアラートの設定、不要なリソースの自動削除、月次レビューの実施が推奨されます。
S3バケットの公開設定ミスや、アクセス制御の不備により、外部からデータが閲覧可能になってしまう事例も実際に報告されています。
対策: IAMポリシー(AWSリソースに対するアクセス権限を定めたルールで、誰が何をできるかを細かく制御するための設定)の適切な設定、S3バケットのアクセス制限、セキュリティグループの見直しを定期的に行いましょう。
マーケティング施策やTV放映などでトラフィックが急増した場合、リソース不足によりサイトがダウンしてしまうこともあります。
対策: オートスケーリングやCDN(CloudFront)の導入により、突発的なアクセスにも耐えうる構成を構築しておくことが重要です。
AWSを使ってWebサイトを構築する場合、多くのケースでSSL証明書を利用して「https://」から始まる安全な通信を実現します。しかし、Let's EncryptやAWSの「ACM(AWS Certificate Manager)」を使って取得したSSL証明書は、一定期間ごとに更新が必要です。
自動更新の設定を正しくしていなかったり、設定されていたが失敗していた場合、期限切れになった証明書がそのまま使われ続けることになります。これにより、ブラウザで「この接続は保護されていません」と表示され、ユーザーの信頼を失ってしまう重大なトラブルにつながります。
対策:SSL証明書を手動でインストールした場合は、有効期限を事前にカレンダーやタスク管理に登録し、更新時期を見逃さないようにしましょう。
次は実際にアリウープでもよく質問されることをご紹介します。
AWSは"従量課金制(使った分だけ支払う)"です。サーバーの使用時間、データ転送量、ストレージ容量などに応じて料金が発生します。
心配な方には以下の対策があります
無駄なコストをかけない運用設計が重要です。
AWSは世界中の政府・大企業・金融機関も利用する非常に高いセキュリティ基準で運用されています。
また、ユーザー側でも下記のような設定を行うことでより安全に使えます
AWSには有償の「サポートプラン(Developer/Business/Enterprise)」があり、技術的な質問から構成アドバイスまで受けられます。とはいえ、操作そのものに不慣れな方には難しく感じる場面も多いため、制作会社との連携が重要です。
AWSには無料で使える「ベーシックサポート」が付属していますが、これは 基本的な利用支援(よくある質問やドキュメント)に限られます。問い合わせには「有料サポートプラン」が必要で、サーバーの不具合、操作トラブル、料金の疑問などに直接AWSに質問したい場合は、有料プランが必須です。
「誰が運用・保守を行うか」まで考えたうえで、AWSのサポート体制を選ぶことが重要となります。
必ずしもそうではありません。Web制作会社、パートナー企業との連携や外部サービスの活用により、自社のIT人材が少なくても導入・運用を進めることができます。
ただ、初心者さんがいきなりAWSでWebサイトを構築するのは高いハードルがあるので、基本的な理解や運用管理者の確保が望ましいです。
AWSの強みは「柔軟性」と「スケーラビリティ」ですが、専門知識がないと管理が難しいのも事実です。
設定ミスによるセキュリティリスクやコスト超過の懸念もあるため、不安な場合は制作会社などの支援を受けるのがおすすめです。
AWSやWordPressをはじめ、Webサイトを構築するための選択肢は数多く存在します。どのような目的でサイトを作るかによって、最適なサービスは異なります。ここでは代表的なニーズに応じた選び方を解説します。
「とにかく早く・安くサイトを公開したい」場合
おすすめ:レンタルサーバー+WordPress(例:さくらのレンタルサーバ、エックスサーバーなど)
理由:月額数百円〜で簡単に始められ、テンプレートを使えばすぐにWebサイトが完成します。
対象:小規模店舗、個人事業主、ポートフォリオサイトなど。
「アクセス増や拡張を見越した構成にしたい」場合
おすすめ:AWS上にWordPressを構築(Amazon EC2+RDSなど)
理由:アクセスの増減に合わせてサーバーを柔軟に拡張でき、セキュリティやバックアップ設計も細かく可能。
対象:中規模以上の企業、ECサイト運営、複数サイトを一括管理したい場合など。
「社内システムと連携した高機能なサイトを構築したい」場合
おすすめ:AWSを活用したフルスクラッチ開発(React+API連携、Lambda、DynamoDBなど)
理由:営業支援、会員管理、業務アプリと連動したWebポータルなど、高度な要件に対応可能。
対象:大企業、スタートアップのプロダクトサイト、SaaS提供企業など。
自社に最適な形でWebサイト構築をしていきましょう。
AWSは、単なるクラウドサーバーの提供にとどまらず、企業のIT戦略全体を支える総合的なプラットフォームです。柔軟性・拡張性・コスト効率・セキュリティを兼ね備え、あらゆる業種・業態の企業に対応できるのがその最大の強みです。
AWSはWebサイト構築におすすめですが、導入・構築・運用までを一人の担当者で行うのは現実的に難しいケースも多く見られます。
特に社内にITの専門知識を持つ人材がいない場合や、トラブル時の迅速な対応が求められるWebサイトでは、信頼できる制作会社やAWSパートナーに導入から運用まで相談することが、安全かつ確実な選択肢です。AWSの導入・構築・運用を成功させるためにも、外部の専門家の力も上手に活用していきましょう。
AWSの活用、サイト構築やCMS選定に関してお悩みの方はぜひアリウープにご相談ください!